ちょっといい時計を買った。
きっかけは、株だった。
仮想通貨では相変わらずボロボロだったんだけど、あきらめて株に戻ったら、なんか当たった。
AIの未来にときめいて買った、とある個別株。
わたしは最初にガツッと入れてしまうので、当たるときはデカい。
気づけば、個別株では自分史上いちばん大きな含み益になっていた。
これはちょっと、記念に何か買ってもいいんじゃない?
そう思って、時計を買うことにした。
それまで使っていたのはApple Watch。
ちょうどバッテリーが弱ってきて、新しいのを買うか、バッテリーを交換するか迷っていた。
そんなとき、会社で仲のいい子に時計のことを聞いてみた。
カルティエだった。
しかも、もう10年くらい使ってるらしい。
自分の誕生日に、ご褒美で買ったんだって。
なにょおおお!
そんな涼しい顔して、そんないい時計をずっと普段使いしてたんか!
チームリーダーにも聞いてみた。
オヌシなにつけてんじゃい。
ロレックスだった。
こっちも十数年の相棒らしい。
なにょおおおお!
きみたち!!
しかも二人とも、いい時計を持ってることを自慢するわけでもない。
傷なんかもあんまり気にせず、普通に使ってる。
「時計は使ってなんぼですよ」なんて言われた。
かっちょええ。
わたしもそういうの、ちょっとやってみたい。
どうせ買うなら、長く使えるものにしたかった。
10年、できれば20年。
ちゃんとメンテナンスしながら、ずっと使えるやつ。
だから機械式時計にしてみた。
長く付き合うつもりなので、これから先もちゃんとメンテナンスしてもらえそうな、長く続いていて世界展開しているブランドを選んだ。
わたしのは二人の時計と比べたらぜんぜん安い。
でも、機械式時計の入口としてはこれくらいでいいかなと思った。
10年、20年使うなら、年数で割ればそんなに高くない。
たぶん。
そういうことにした。
あと、わたしは天邪鬼なので、みんなとかぶりそうなものはなんとなくイヤだった。
だから、ちょっと変わった形のものにした。
リセール価格も考えてない。
売るつもりないし。
自分で使い倒すんだから、次に欲しがる人がいるかどうかより、わたしが好きかどうかでいい。
公式のWebショップで、ポチッ。
よし!
文字彫刻のサービスもあった。
株でうまくいった記念だし、その銘柄のティッカーシンボルを入れてもらおうかな?
と思った。
でも、「これ、なんて意味?」って聞かれたときに、説明するのめんどくさいな。
それに、このあと爆損したら笑えない。
やめた。
買ってからは毎日つけている。
会社にもつけていく。
休みの日もつけている。
機械式時計って、中を見るとテンプっていう部品がちこちこ動いてる。
あれがかわいい。
小さな心臓みたいに、ずっと鼓動している。
でも機械式時計にはパワーリザーブがある。
ずっと放っておけば止まっちゃう。
それがなんかイヤなのだ。
SF映画とかで、味方のアンドロイドが電源切れで止まっちゃうシーンあるじゃん。
どうにかこうにかパワーを供給して、
お願い。動いて!
からのリブート。
あれに近い感じ。
だから休みの日も時計をつけて、ガシガシ歩く。
わたしが動けば、時計も動く。
愛を持って育てている。
傷もあんまり気にしないことにした。
これから10年、20年使うなら、傷も含めてわたしのヒストリーになればいい。
この前、コンビニでお茶を買おうとしたら、閉まってきたドアにガチッ!
時計をぶつけた。
やった。
さっそくヒストリーが刻まれた。
ワザとじゃない!と思ったら無傷だった。
強い。
ちなみに、時計を買うきっかけになった株。
まだ売ってない。
そして、時計を買ったあたりが今のところだいたい天井だった。
今でも時計を見ると、あのへんが天井だったよね。
と思う。
もちろん、その会社には今も期待してる。
AIの未来にも、まだときめいてる。
でも、永遠に上がり続けるものなんてない。
調子に乗ってるときが天井かもしれない。
そう思うと、この時計はちょうどいい楔にもなった。
これから株がどうなるかはわからない。
でも、この時計はできれば10年、20年使いたい。
傷だらけになってもいい。
ちゃんとメンテナンスして、ちこちこ動かしてやりたい。
今日もまだ無傷。
そして今日も、元気に動いている。
明日もつけていこう。




