飛行機に乗り遅れたことある?
わたしはあるよ。
しかも空港には何時間も前に着いていた。
遅刻したわけじゃない。
ジュース飲んでた。
ギリシャからサントリーニ島へ行ったときのこと。
空港にはかなり早めに着いていた。
まだ時間あるなーと思って、カフェで飲み物を買った。
日本では見かけない、ちょっと珍しいやつ。
せっかくだから飲みきりたかったんだけど、なかなか減らない。
これ持ったままセキュリティチェック入れないよね。
まだ時間あるし。
そう思って、ベンチでのんびり飲んでいた。
まだ時間あるし。
なかった。
わたしはボーディングタイムとデパーチャータイムを読み違えていた。
間違いに気づいて青くなった。
急いで荷物を預けようとしたら、エラーになった。
実はもう、荷物を預けられる時間を過ぎていた。
だから何度やってもエラーになる。
でも、そのときのわたしはそんなこと知らない。
自分が何か操作を間違えたんだと思った。
係員さんに聞けばいい。
今ならそう思う。
でも、その場にいたのは怖そうな男の人ばっかりだった。
勇気を出してボソボソ話しかけても、なんかスルーされる。
英語もぜんぜん出てこない。
焦れば焦るほど、ほんとうに何も出てこない。
しかも後ろには行列。
わたしがここでモタモタしてたら、みんなの迷惑になる。
そう思って、いったんその場を離れた。
そして、また列の最後尾に並んだ。
もう一度やってみる。
またエラー。
今ならわかる。
何回並び直したって、もう荷物は預けられない。
でも、あのときはわからなかった。
時間だけが、どんどんなくなっていった。
もうぜんぜん言葉が出てこなくなって、最後は翻訳アプリを使って必死に会話した。
そして、飛行機にはもう乗れないことがわかった。
空港には何時間も前からいたのに。
泣きそうだった。
しかも、よりによってサントリーニ島ではちょっといい宿を予約していた。
空港から宿までの送迎サービスもお願いしていた。
飛行機に乗れない。
次の便を探さないといけない。
宿にも連絡しないといけない。
送迎の時間も変えてもらわないといけない。
もう、めちゃくちゃ。
さすがにへこんだ。
でも、ここでずっと引きずっていたら、絶対この旅行つまんなくなる。
そう思って、必死に頭を切り替えた。
お金で解決できることなら、あとからどうにでもできる。
一番早くサントリーニ島へ行ける飛行機を取り直した。
めっちゃお金かかった。
宿にも電話した。
さっきまで英語がぜんぜん出てこなかったのに、今度は電話。
めちゃくちゃ緊張した。
声、震えた。
それでもなんとか飛行機に乗り遅れたことを伝えて、送迎の時間も変更してもらった。
なんとか全部立て直して、ようやくサントリーニ島に到着した。
宿に着いたころには、もうぐったり。
せっかくちょっといい宿を取ったのに、そのまま寝た。
夕飯どきに起きて、少し散歩に出た。
サントリーニ島は高低差がすごい。
今でもロバを移動に使うらしい。
夜は足元がよく見えない。
そんなことを知らずに歩いていたわたしは、新しい靴でロバのフンを踏んだ。
飛行機に乗り遅れて、やっとサントリーニ島に着いたと思ったら、今度はロバのフン。
もう最悪。
でも、サントリーニ島には連泊していた。
次の日からはちゃんと楽しんだ。
イアの城跡から見た景色と夕日は、今でも忘れられない。
本当にきれいだった。
飛行機に乗り遅れて。
飛行機を取り直して。
宿に電話して。
送迎を変更してもらって。
新しい靴でロバのフンまで踏んで。
やっとたどり着いたサントリーニ島。
そんなイアの城跡で夕日を見ていたら、どこからか日本語が聞こえてきた。
日本人のツアー客がいた。
……。
聞こえなかったことにした。
いや、別にツアーが悪いわけじゃない。
楽だし、安心だし、ぜんぜんいいと思う。
なんにも悪くないんだけど!
こちとら、めちゃくちゃ苦労してここまで来たんじゃい。
ロバのフンまで踏んだんじゃい。
まあ、ちょっとだけ悔しかった。
帰りにロバのぬいぐるみを買った。
ちゃんと日本まで連れて帰ってきた。
今でもサントリーニ島のいい記念になっている。
この旅行で学んだこと。
空港に着いたら、まず荷物を預ける。
セキュリティチェックも通る。
ゆっくりするのは、それから。
珍しいジュースでもあきらめる。
セキュリティチェック終わらせてから中で買えばいい。
飛行機も取り直して、めっちゃ高い勉強代だった!
色んな人に迷惑かけちゃったかも。
ごめんね。





