わたしはパンケーキが食べたい

最近、FIRE界隈のXやnoteを見ていると、なんとなく違和感がある。
わたしもいつか会社を辞めたいと思っているから、そのあとの生活が気になる。

会社を辞めたら、毎日どんな感じなんだろう。
朝は何時に起きるんだろう。
平日の昼間は何してるんだろう。
暇にならないのかな。

会社員の友達とは時間が合わなくなるのかな。
資産が減っていくのは怖くないのかな。
自由になってみて、初めて気づいたことはあるのかな。

そういう話が読みたい。
なのに、タイムラインに流れてくる情報は、

FIREするための方法。
資産形成の方法。
副業の始め方。
ブログの収益化。
有料note。

いや、それじゃないんだよなあ。
わたしはFIREの攻略法を探してるんじゃない。
FIREした人が、そのあとどうやって生きて、何を感じているのかを知りたい。

そんなことを考えていたら、そもそもわたしは有料noteにあまり興味がないことにも気づいた。
ネットを探せば情報はいくらでもあるし、今ならAIにも聞ける。
それをまとめ直したものにお金を払ってまで読みたいかと言われると、あまり心が動かない。

じゃあ、有料だから嫌なのか。
「無人島を買って暮らした人の実録が500円だったら?」

買う。
それは買うわ。
見たいもん。

あれ?
値段じゃなかった。
わたしは知らない誰かが実際に体験した、その人にしか書けない話が読みたいんだ。

そういえば、わたしは無人島に行ったことがある。
パラオを旅行していたとき、船の上で突然お腹が痛くなった。
スタッフの人には、「海の中でして」みたいなことを言われた。

え!?
そっちじゃないんだけど!!
絶対無理!!

と訴えたら、近くにあったイノキアイランドという無人島に連れていってくれた。
ほったて小屋みたいなトイレがあって、本当に助かった。
本当はみんなとジェリーフィッシュレイクへ行く予定だった。

わたしだけ別行動になって、行けなかった。
でも、その無人島の海がものすごくきれいだった。
トイレから出て見えた景色がまるでパラダイスだった。

今振り返ってみても、わたしはジェリーフィッシュレイクに行くより、あの島に行けてよかったと思っている。
お腹が痛くならなかったら、たぶん一生降りることのなかった島。
だから「無人島で暮らした人の話」と聞いた瞬間、心が動いたのかもしれない。

自分でも理由なんて考えてなかった。
心が先に反応した。
意味を見つけたのは、そのあとだった。

そして今日、ロイヤルホストへパンケーキを食べに行った。
最近のパンケーキはすごい。
スフレだったり、生クリームがたっぷり乗っていたり、チーズが入っていたり。

お店ごとにいろんな工夫がされている。
でも、わたしが食べたかったのは、そういうパンケーキじゃないんだ。
昔ながらの、普通のパンケーキ。

いろんなお店が違いを出そうとしているうちに、普通のパンケーキのほうが珍しくなってしまった気さえする。
そんな中で、クラシックなパンケーキを出し続けているロイヤルホストを見たら、なんだか妙に心が動いた。

変えないでいてくれたことが、なんだかうれしい。
変えないことが、価値になることだってある。

そうそう。
わたし、普通のパンケーキが食べたかったんだよ。
これ、FIREの話と同じなのかもしれない。

みんなが収益化しようとして、
違いを出そうとして、
新しい方法を考えて、
ノウハウを商品にして。

いつの間にか、わたしが見たかったものが見えなくなっていた。
FIREする方法じゃない。
FIREしたあと、その人が何を見て、何をして、何を思って生きているのか。

わたしはそっちが見たい。
パンケーキにどんなトッピングを乗せれば売れるのかじゃなくて、わたしはパンケーキが食べたい。
たぶん最近ずっと考えていることも同じだ。

お金を増やすことも。
会社を辞めることも。
ブログを書くことも。

それ自体が目的じゃない。
その先で、何を見たいのか。
何をやってみたいのか。
何に心が動くのか。

車にたとえれば、ドーパミンはエンジン。
好奇心はハンドル。
意味なんて、走りながら見つけてもいい。
あとから見つけてもいい。

予定していた目的地に着けなくても、思いがけず降りた島のほうが好きになることだってある。
だから、とりあえず心が動いたほうへ行ってみようと思う。
考えるのは、そのあとでもいい。

今思えば、お腹が痛くなって無人島に緊急上陸したのはラッキーだったのかもしれない。